研究概要 |
本年度は,長野市の都市機能における善光寺の社会・経済的役割についての分析を引続き行ない,検討を加えた。その結果,現在の長野市は門前町としての機能が薄れており,むしろ行政・経済的中枢管理機能が卓越していることが明らかになった。また,中世の寺社参詣路がどのようにして形成され,またそれがどのような機能を有していたかを解明するための基礎的作業として,中世の善光寺を訪れた人々の記録や関係記事を収集し,それによって想定される善光寺参詣路の特徴なども考察した。 国際的比較については,善光寺信仰の形成と特質を明らかにするために,アジアを代表する宗教の一つであるヒンズ-教の聖地ベナレスの信仰と長野市善光寺平のそれとの比較を行った。また,イスラムとキリスト教,イスラム教におけるスンニ派とシ-ア派における巡礼のありかたについての考察を行なった。 教材化については,善光寺門前町を広い視野からとらえるためには,国際的・歴史的・地理的視野を含めた多角的視野から検討する必要があることを解明した。また,地理的視野にたった具体的な教材化をはかるために陸上・河川交通の要衝に立地する新善光寺の実地調査を行ない,TP・スライド教材の作成を行なった。
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