研究課題/領域番号 |
02451050
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 忠 東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
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研究分担者 |
山田 勝芳 東北大学, 教養部, 教授 (20002553)
花登 正宏 東北大学, 文学部, 助教授 (60107175)
杉山 晃一 東北大学, 文学部, 教授 (70004041)
村上 哲見 東北大学, 文学部, 教授 (70005734)
安田 二郎 東北大学, 文学部, 教授 (90036666)
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キーワード | 東アジア / 指導者像 / 望 / 士大夫 / 士人 / 両班 / 武士 |
研究概要 |
1.東アジアの伝統社会における指導者像の研究にあたって、研究の立脚点を構築するために、六朝期中国の事例を先ず集中的に検討した。 2.4世紀後半の六朝江南社会の代表的指導者とみなされてきた謝安は、5世紀になると“雅量と風流の名宰相"というイメ-ジで史書に現れる。ところが謝安執権は本質的に外戚政治であるにもかかわらず、この側面は歴代の史書において極力おし隠されてきた。この背後には、その時代時代の政治的状況が反映されているはずである。たとえば5世紀半ば以降に顕著化する君主専制政治に対して、雅量と風流の名宰相という謝安像が意図的に造形されたと考えられる。ここに支配者像をめぐる実態と理想像の乖離が認められ、またこのような虚構が作り出される過程の究明が肝要であることを見出した。 3.目下、中国・日本・朝鮮三国における上述のモデルの適用の有効性を確認する作業を進めている。 4.これまで六朝期中国の事例研究を集中的に検討してきたが、史料に記された指導者の姿が、必ずしも実像とは即断できない。史料編纂時点の政治的・社会的課題の投影により、指導者像もそれ自体一定の変形を免れないことは言うまでもない。従って、指導者像の“造形"過程を具体的な史料展開に即して解明することの必要性をあらためて痛感した。 5.この指導者像の理想化・肥大化は、単に、虚構として切り捨てられるべきではなく、その中に当時の理念としての指導者像が表現されていることも見落とされてはならないことを、あらためて確認した。
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