研究課題/領域番号 |
02451062
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岸谷 敞子 東京大学, 教養学部, 教授 (70012490)
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研究分担者 |
宮島 達夫 国立国語研究所, 研究室長 (30099915)
池上 嘉彦 東京大学, 教養学部, 教授 (90012327)
重藤 実 東京大学, 教養学部, 助教授 (80126078)
新田 春夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (00012443)
吉島 茂 東京大学, 教養学部, 教授 (50011309)
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キーワード | 言語類型論 / 対照言語学 / 言語変化 / ドイツ語史 / 統語論 / 機能動詞 / 話し手 |
研究概要 |
1)言語類型論の視点から個別言語の史的変遷を記述するという試みにあたって、我々はまず、「話し手自身の言語化の類型」という視点を導入した。これは例えば、ドイツ語では述語使用における人称の区別、日本語では用言における自他の区別などに表れるものである。 2)次いで史的変遷という問題設定から、ドイツ語と日本語における動詞句と名詞句のMorphosyntaxの領域における様々な変遷の現象を1)の視点との連関において捉え直すことを試みた。即ち、 (i)動詞句の領域では、ドイツ語は中世以降、複合動詞、機能動詞などの迂言的表現が発達するが、この変遷をModus,Genera verbi,Aktionsartなどの表現体系の変遷との関わりにおいて記述する。 (ii)中世ドイツ語では、定動詞を含む述語(動詞句)と結合する名詞句は、多くの場合、人称代名詞か指示代名詞であり、少なくともそのどちらかを含む名詞句である。主格名詞句を一律に「主語」と見なす学校文法の先入観にとらわれず、「主語」と解釈される名詞句の格と述語のタイプとの相関関係を記述する。 (iii)名詞句統語論の領域における史的変遷に関しては、文法的形態素と語彙的形態素との線的結合順序という視点から、ドイツ語名詞句における中世ドイツ語から初期新高ドイツ語をへて現代ドイツ語に至る変遷を記述する。統語論的変遷の殆ど見られない日本語に比べて、ドイツ語はなぜ変化が著しいかといった問題も話し手自身の言語化の類型の違いといったことと関連していることが予想される。 3)これまでコンピュ-タに入力して中世ドイツ語、初期新高ドイツ語のテキストコルプスを使って、デ-タの収集と統計的分析を行っている。
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