研究概要 |
1.研究テ-マに関連する内外の図書資料の収集,実態調査(岩手県葛根田原生林の調査及び森林生態系保護地域設定に関するヒアリング,東伊豆地域におけるリゾ-ト開発の現状と地方公共団体の環境保全対策の調査,朝日連峰における林道開発・林業施業と自然保護行政の調査,その他栃木県・埼玉県・福島県等のリゾ-ト開発に関する調査)及び学会等における研究成果の発表を実行した. 2.研究成果の発表については,下記の通りである(裏面参照),研究・調査は途上にある. 比較研究の方法については,共同討議により,(1)自然保護の対象としての自然の素材(概念),(2)自然保護の思想(認識と価値観),(3)保護の手法(対象の所有形態,規制・復元・創造の法的メカニズム・費用負担・参加手続の保障),(4)中央政府の法律・行政,地方公共団体(地方政府)の条例・行政,及び自治規範を要素とする枠組を構成し,この仮説に基づいて研究を進めている. 3.日本の自然保護については,現時点の問題から出発して,遡及的に発展過程を辿る手法を採用している.法思想のレベルでは,人格権・環境権・自然享有権の位置づけ,法制度のレベルでは多元的構造の可能性について牛山が新たな知見を提示した.ドイツについては,1935年のライヒ自然保護法の成立に至る自然保護思想と法制度の歴史的発展を北山が解明し,現在に至るまでの歴史的研究の端緒を開いた.ソビエトについては,ペレストロイカと結合して登場した「国の環境的健全化の緊急措置に関するソ連最高ソビエト決定」(1989年)の分析を直川が行ない,歴史的に遡及するソ連邦の法制度の研究と共和国レベルの法制度の研究を今後の課題としている.イギリス及びアメリカを対象とする研究成果は1991年度にとりまとめの予定である.
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