研究概要 |
1わが国については,文献の収集・分析,山形県小国町ほか近隣地方公共団体において地域開発と自然保護に関するヒアリング,福島県磐梯町におけるリゾ-ト開発に関する地方公共団体と住民に対するヒアリング,自然保護の集会に参加して全国的な自然保護上の問題の把握を行った。その結果,地域における環境管理計画の重要性,その実現のために法律ー条例ー協定という多元的手法(構造)の有効性,地域を超えた市民及び団体の異議申立の必要制,その根拠づけとしての自然享有権の意義を確認した。「多元的構造」の分析道具としての有効性が認められたと考える。環境管理計画については,生態系保護の概念の明確化が重要課題となってきた。 2アメリカ及びイギリスについて.収集した文献資料の検討中である。イギリスについては,これまでに辿ってきた,イギリスの自然保護制度の歴史的展開を,1990年制定の環境保護法に結びつける作業が進行中である。 3ドイツについて.自然保護思想と法制度の歴史的発展過程を概歓したうえ,法と思想(文化)との関係という点から注目に値する「ライヒ自然保護法(1935年)」と、ロマン主義思想及びナチズムとの関連について検討した。さらに,現行の連邦自然保護法をエコロジ-思想に立つものと規定したうえで、そうした性格が同法の具体的な保護手法と現実の保護行政にどのように現われているかの検討に移りつつある。 4ソビエト連邦の自然保護法制については,ペレストロイカを背景とした自然保護制度の動きまで分析を行ったが、政変後の激動から生じる動向について資料を収集中である。 5われわれの研究の中間報告を昨年5月に比較法研究所主催の講演会で行った。研究計画達成のためにはさらに年月を必要とする。
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