研究概要 |
本研究の目的は,高度情報化社会の進展にともなう経済・社会環境の変化,すなわちINSに代表される新しい情報・通信ネットワ-クの完備により,双方向同時平行的ディジル処理化,光通信などのコンピュ-タ通信の発達,AIなどソフトウェア技術に支えられた情報通信機器の有機的な結合による分散的ネットワ-ク管理システムの発達が,個性化する価値観と相挨って新しく展開しつつある都市化過程に及ぼす影響を解明することである。 土地市場および会社勤務と在宅勤務(telecommuting)に分化した労働市場の同時均衝と,交通と情報ネットワ-クとの間の代替・補完関係を考慮した非線形の都市システムシミュレ-ションモデルを開発し,勾配法,模索過程を組み込みんだシミレ-ションアルゴリズムを開発し、さらに解析のためのEWS上でのグフフィック環境を開発した。 高度情報化社会の基盤ともなる情報通信システムが我々にとって日常的なコミニュのケ-ション手段のひとつとして定着するにつれ,大都市の人口集中と車社会がもたらした交通混雑,とくに通勤時の異常というまでの混雑は,空間を占有し物的移動を必要とする交通ネットワ-ク依存型の通勤から,大容量かつ高速な情報移動を利用した通信ネットワ-ク依存型のテレコミュ-ティングへの移行により緩和されることが期待できる。そればかりでなく,通勤時間の減少から余暇が増え,貨幣所得の増加に伴い住宅スペ-スも広がる。また,在宅勤務ヘピグ-型補助金を支出すると混雑を緩和するばかりでなく,大都市の持つ規模・集積の効果を享受しながら都市における住環境を改善し,ライフスタイルにも変化を与えつつ,我々はさらに豊かになるだろう。他方,交通基盤の改善は,通勤時間を減少させるが,より長距離勤を助長し,混雑をますます増加し,都市生活を圧迫する。この意味では,情報ネットワ-クと交通ネットワ-クは代替的である。国際情報通信ネットワ-クの発達は,もしもこれを大都市における企業群のみが活用できるとすれば,かえって経済活動の限られた地域への集積を促進することなる。このフェイズでは,交通と情報は補完関係になる。自立する地方都市の存在のためには,情報集積ポテンシャルばかりでなく,国際ネットワ-クへのアクセス利更性が重要な鍵となる。
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