研究課題
一般研究(B)
「日本は本当に豊かなのか」、「企業に富が集まるばかりで、人々は豊かでない」などと、この1、2年急激に言われる中で、ソニの-の盛田会長の論文・発言を巡って、この問題は様々な論議がかわされている。「会社が、社会(日本)を豊かにするために一所懸命働けば、会社・社会が豊かになるにつれて自分たちも豊かになる」と信じ、人々は「過労死」を引き起こすまで働いてきた。そして、会社を豊かにする(発展させる)為には、「良い品を安く作れば良い」、このような考え方に、はっきりした疑問符が打たれかけているのである。所有者(資本家)のための会社から、従業員と消費者のための会社へと変わってから約半世紀、再び「誰のための会社か」が問い直されてきている。本研究は、そのような現代日本の重要課題への取り組み方として、「ビジネス・ニュ-フロンティア開発としての企業の地域戦略に関する研究」と題して、地域と企業の新しい関わり方を研究するものであった。成果は以下の通りである。地域は、そこに居住する人間のみを考慮するだけでなく、広く生態系までもを視野に入れる必要があることを、その生態系とどう調和していけばよいかという、基本的課題を明らかにした。また、企業の変革の試みをどう現実化し、成果に結びつけていくかについても考察した。また、組織論の新しい視座である「組織間ネットワ-ク」を用いて新しい地域社会のあり方を考察した。実証研究として、川崎市の水道事業・下水道事業の調査分析、そして、情報化社会における地域にとって不可欠な視点、エリア放送について分析を行なった。以上、簡単に成果の概要をまとめたが、本問題の大きさ・重要性からすれば、一端を明らかにしたに過ぎないが、一応の成果が挙がったと言えよう。
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