1。企画部門を中心とした本社機能が当該企業の工場水準の付加価値創造に与える寄与を推計する方式を工夫し、これを日本の電気機械工業の代表的企業の実績に当て嵌めて、その実践性を検証した(「研究発表」の第1論文)。 2。知識集約型スタッフの活動が企業の生産性及び収益性に与える貢献度を推計する方式(総和指標体系)を工夫し、これを日本の代表的工企業の実績に応用して、その実践性を検証した(「研究発表」の第2論文)。 3。以上2つの研究は、大規模企業であれば必ず備えている一般的な企業会計情報を活用して実施できる方式であって、ソフト・ウエアとしては、ごく簡単な形式(たとえばLotus1・2・3)によって経常的に推計できる。各期首での計画、及び毎期末での実績評価の為の諸係数が自動的に得られる。この方式は二つの期間の比較・評価に用いられるものであるが、これを連結して長期の趨勢分析にも展開することができる。後者の場合は、いわゆる連鎖指数体系が用いられる。生産性・収益性の評価は、原則上総コスト・ベ-スで行なわれている。 4。日本における工企業の経営成果向上実績の特殊性の考察において、それのもつ社会心理学的背景は極めて重要である。これを歴史的視点から広く考察を加えた。いわゆる日本化された儒教文化が果した日本の産業化、とりわけ企業経営のリ-ダ-シップの社会心理学的特性に焦点を当てて研究したものである(「研究発表」)の第3論文)。これは日本代表的企業が直面する組織改革、とりわけ企業風土改革を考える上で、ぜひとも明らかにしなければならない側面である。
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