研究課題
I.個別建築行為における建築企画の調査研究建築企画の重要性が強く認識されている大規模建築物や複合建築物の建築企画について、建築需要の発生から建築にいたるそのプロセスに関わる建築主、建築企画者へのアンケ-トおよび聞き取り調査を通して建築企画のプロセスおよび手法について分析した。建築企画を業務として行うようになったのは、対象とする建築物の大型化や複雑化が進んだ時期に重なるが、小規模な建築物でも他の建物との差別化を図るため、あるいは土地の有効利用をはかり税金対策を行うため等の建築企画が行われるようになってきた。建築企画に対する関心が高まるにつれて建築企画の内容も高度なものが要求されるようになってきたが、それに応えるためには企画者が単独で企画の全てを行うことは難しく、外部の協力者との連携が必要で、建築企画者にはコ-ディネ-ト力が必要になってきている。II.建築集団に対する社会的建築企画の調査研究建築行政を建築集団に対する社会的建築企画との視点から捉えなおし、主として自治体における建築行為のコントロ-ル、誘導、モデル効果などの機能と役割について調査・分析を行った。これによると自治体の建築行政は制度的な役割分担によって、その組織、事務が規定されており、各自治体の建築政策は都市化の程度と関係が大きいことが明らかになった。また、営繕部門において実施設計を外注している自治体が多く自治体の有能な建築職員が上質の建築物を設計し誘導的な役割を果たすという図式が崩れてきていることが明かである。現在自治体の建築行政にはまだ数多くの問題があるが、この状況を打開すべく従来の受身の行政から積極的な行政への転換が図られている。建築活動をめぐる社会の変容に建築行政が適切に対応するためには建築行政を構成する各分野が相互の連携性を強め総合化を図る必要があると考えられる。
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