研究概要 |
技術・家庭科は,実践的,体験的学習を中心とすることから技能に関する指導の重要性は従来と同様であるが授業時数が必ずしも十分でないことから,少ない時間で有効な指導を行うことが,従来以上にこの教科の課題となっている。技能指導は,ガニエの言う知的技能とともに身体動作の指導が重要である。したがって指導においては,まず技能に含まれる知的技能の解明が必要であり,また身体動作の指導でも,単に反復練習によってカンやコツを習得させるというのではなく,身体動作の科学的解明が必要である。本研究では3次元解析装置を用いて,身体動作について3次元からの解析を試み,これらの解析結果をもとに,技能の指導方法及び指導のためのカリキュラム開発を行う。つぎに開発されたカリキュラムにもとずいて技能の指導を試み,カリキュラムの評価を含めた技能の評価システムを開発することを目的としている。具体的には情報基礎におけるコンピュ-タの操作技能及び木材加工におけるかんな削り,のこぎり引き,釘打ちの工作技能について研究を行った。かんな削り動作では,初心者ほど上半身にひねりを加えて削っていることが明かになった。また熟練度が上がるにつれて,上半身のひねりによって削るための力を出すのでなく,身体重心の移動によって削るための力を出していることが明かになった。のこぎり引き動作では,かんな削りと同様に,初心者はのこぎりを引くための力を上半身のひねりによって出していることが明かになった。しかし,熟練者には上半身のひねりによって力を出すという傾向はみられなかった。釘打ち動作では,初心者は釘に対して玄能を斜め上から打ち下ろすという傾向がみられ,力のモ-メントが有効に使われていないことが明らかになった。キ-ボ-ドの操作では,過去に3次元解析装置で解析が行われていなかったことから,キ-ボ-ドの操作が解析できるように,3次元用基準座標系を開発した。
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