研究概要 |
本研究は、「教材の組織的体系に関する教科教育学的研究」を主題として、「教材の組織化にかかわる基礎的要因の分析」を研究一年次に取り上げた。そのなかで、自然、社会、文化の特性に関する研究と学習者の発達と経験の特性に関する研究、及び、教育の伝統に関する特性の研究を解明することに努めた。特に、本主題をへき地という自然、社会、文化、教育、児童に研究対象を焦点化し、体系的、組織的に研究を具体化し、教育実践活動に本研究を分化し、理論と実践の結合を図った。 研究の第1部として、へき地小規模学校の学習環境、学校目標、教育組織と運営、学級編成,小中学校併設の場合の学校経営を明らかにした。第2部として、学校の教育課程の編成、特に、各教科、道徳、特活の組織とカリキュラム運営について、具体的に両学年に教材をどのように組織的、体系的に配置すればよいか、学習者の発達と経験をもとにその構造を明らかにした。第3部として、複式学級の学習指導と評価に視点を当て、異内容、同単元異程度、同単元同内容異年齢同時学習など、さまざまな学習場面について指導方法と学習評価の方法を明らかにして、第4部では、指導事例として、理科、算数、国語を取り上げ、地域の自然、社会、文化を生かし、教育の伝統と革新を図る教育実践を明らかにした。この成果は、“Curriculum Instruction in Multigrade Teaching in Rural Schools in Japan",242ペ-ジとして英文で研究報告書を作成した。 さらに、教師の資質を向上させるために、教材について、目標、内容、方法、教材教具、研修などを取り上げ、調査研究をスタ-トさせた。次年度の研究は主として、へき地以外の教師を対象に、教育の基本的要因を分析し、それを100項目に分け、全都道府県小学校教師600名にアンケ-ト調査を行い、現在分析中である。
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