研究課題/領域番号 |
02452012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 大一郎 東京大学, 教養学部, 教授 (10022592)
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研究分担者 |
川辺 幸子 (奥村 幸子) 東京大学, 教養学部, 助手 (20224842)
牧野 淳一郎 東京大学, 教養学部, 助手 (50229340)
戎崎 俊一 東京大学, 教養学部, 助教授 (10183021)
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キーワード | 専用計算機 / 並列計算機 / 重力多体問題 / 銀河 / 恒星系 |
研究概要 |
平成3年度は、平成2年度に富士ゼロックス(株)電子技術研究所と協力しながら設計した低精度(無衝突系)用GRAPE LSIを量産し、専用計算機GRAPEー3の組み上げとその立ち上げを行った。達成した性能はピ-クで14Gflops、20万体問題での実効速度で10Gflopsであった。これは現存の汎用ス-パ-コンピュ-タの性能を凌ぐものである。このGRAPEー3を使って、恒星系の進化についてシミュレ-ションを行った結果、銀河の衝突合体が銀河団の進化に大きな役割を果たしていることが分かった。そこで得られた新しい知見を以下に述べる。 1.中心に巨大ブラックホ-ルを持つ銀河同士が衝突するとき、ブラックホ-ルは銀河の星との学力学摩擦によって、エネルギ-よりもむしろ角運動量を失い、2つのブラックホ-ルは容易に合体する。この場合、合体・融合した銀河では、コアの質量とサイズや星の速度分散などが観測で得られている値によく一致する。 2.銀河の衝突において重力場は激しく変化し、それぞれの銀河の中にある星は位相空間で十分に混合を受けるが、エネルギ-空間で見ると混合は最初の間だけしか進まない。これが、これまで「激しい緩和」といわれてきた過程の真の姿なので「激しい緩和」という言葉は現象の適切な表現ではない。 3.2.の過程の結果、衝突前にそれぞれの銀河のコア(ハロ-)にあった星は、突衝後もコア(ハロ-)にある。従って、楕円銀河に星の色の規則的な空間分布があるからといって、銀河の合体を否定することはできない。 4.銀河の合体は、それぞれの銀河のハロ-にある星を跳ね飛ばし、それと共に角運動量を捨てることによって、効率よく進む。上に述べた事柄も考慮に入れると、銀河の合体は銀河群や銀河団、ならびに宇宙の歴史の中で主要な役割を果たしていることになる。
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