研究概要 |
1.400ー500GHz帯サブミリ波分光法の開拓. 主備品である4倍周波器の納入が平成2年12月になったため、現在のところ、〜500GHzまでの予備的なテストを終えたに過ぎない。テストの結果、460〜480GHzの周波数帯で分光に十分な出力が得られたので、5〜6倍波の成分、すなわち、〜600GHzまでの出力が容易に得られる見通しがついた。 2.短寿命分子のミリ波・サブミリ波分光 既設のミリ波・サブミリ波分光器を用い、寿命の短い分子、特に、星間分子としての可能性の大きい分子の分光をおこなった。以下に成果をまとめる。 1).新星間分子の発見.野辺山宇宙電波観測所45m電波望遠鏡により、暗黒星雲TMCー1及び炭素星周辺雲IRC+10216から見いだしていた数本の未同定線を、新しい星間分子CH_2CC、CH_2CCCに同定した。また、外国の電波望遠鏡の観測結果によると、以前、我々が実験室でスペクトルを明らかにしていたHCCN及びSiNラジカルが新しい星間分子となった。 2).その他短寿命分子の分光.含シリコン短寿命分子としては、環状H_2C_2Si分子のスペクトルを初めて明らかにした。FeS( ^5Δi)ラジカルについては、その詳しい理論的解析を進めた。H_2NO,D_2NO( ^2B_1)ラジカル及ひHCCN、DCCN( ^3Σ^ー)ラジカルについてはそれぞれの振動励起状態にあるスペクトルの測定、解析をおこない、H_2NOの非平面性、HCCNの非直線性に関する知見を得た。その他、炭素原子Cの微細構造線を492GHzにおいて、非常に高い精度で測定した。
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