研究概要 |
擬一次元系:S=1,CsNiCL_3での実験か続行され、特に三次元秩序温度以上での高磁場中でのスピン励起の観測が行われた。この実験により(001)付近での磁場によるスピン励起の分裂はS=1,一次元反強磁性特有な三重項によるものと解釈出来る事が示唆された。これはこれまでに秩序温度以下で観測された古典的スピン波論との相違が実際に量子効果によるものである事を裏ずける結果である。偏極中性子を用いた実験ではスピン励起の詳ての偏極度が測定され、Affleckによる量子効果を取り入れたスピン励起の計算が古典的スピン波論では説明出来ない強度関係を正しく説明する事を示した。S=3/2,CsVCe_3では擬一次元方向のスピン励起がRALのチョッパー型分光器を用いて観測され、分散関係のみでなく、励起の線巾に関する情報も得られた。その結果S=1/2の様に明確な連続的励起は観測されないが、比較的巾の有る励起である事が判明した。S=5/2のCsMnL_3では三次元秩序温度以下の分散関係が古典スピン波論により非常に良く解釈出来る事が明確になり、これはS=1,S=3/2で観測される異常が量子効果によるものである事を示すものである。 擬二次元系:反強磁性三角格子系NaTi0_2の良質試料の作製が可能になり、比熱及び帯磁率の測定で異常がT=263Kで確実に観測される様になった。この良質な粉末試料の中性子散乱の結果、この異常は3次元的磁気秩序によるものでは無い事、そしてT<263Kでも二次元的と思われる磁気散漫散乱が高エネルギー準弾性散乱実験により確認された。又高エネルギー研の高分解能粉末散乱装置を使い結晶構造の対称性がこの異常温度前後で変化する事を明らかにした。
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