研究概要 |
今年度(初年度)は,当該研究遂行のため, 1.イオンソ-スを設計・製作し,また,格納用の真空槽,真空排気系を整備した。このため設備備品,タ-ボポンプ,絶縁トランス,高圧電源等を購入した。 2.イオンソ-スは,今後のより広汎な研究目的にも使用できるよう,EBIS(電子ビ-ムイオン源)型とし,特に,小型化,ビ-ム軸精度の向上に留意して設計をおこなった。 3.よく制御された表面をもつ静浄試料は,一般に作成がきわめて困難である。我々は,その分野で目ざましい研究活動をおこなっているDr.Winter(ミュンスタ-大)を招き,試料作成,イオンビ-ムとの散乱実験における留意点について詳しい議論を重ねた。ミュンスタ-大とは今後も共同研究体制(なんらかの意味で)を維持していく予定である。また強磁性体とイオンビ-ムの相互作用という意味では,第1人者とも言えるDr.Rau(ライス大,米国)とも緊密な連絡をとっている。 4.荷電粒子と固体表面の相互作用をさぐる上で重要なパラメ-タに,2次電子イ-ルドがある。我々は当該研究に先だち,高速イオンを用いて,2次電子放出数の入射電荷及び出射電荷依存性を詳細に研究し,非常に興味深い結果を得た。本研究における低速イオン領域,なかんずく,強磁性体表面からの結果が待ち望まれる。 5.上記4と併行して,モンタカルロ法による電子イ-ルドの評価と,それを決定する基本的機構の理論的研究を開始した。従来知られていた機構だけでは実験結果を半分も説明することができないことがわかった。
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