研究課題/領域番号 |
02452039
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
櫛田 孝司 大阪大学, 理学部, 教授 (00013516)
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研究分担者 |
兼松 泰男 大阪大学, 理学部, 助手 (00211855)
栗田 厚 大阪大学, 理学部, 助手 (70170082)
木村 正広 大阪大学, 理学部, 助手 (40028238)
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キーワード | 単色光励起 / 不均一広がり / 共鳴蛍光 / 蛍光の狭帯域化 / 配位座標モデル / 色素分子 / 希士類イオン / 構造的準安定状態 |
研究概要 |
ガラスやポリマ-などの不均一系中の不純物のスペクトルは不均一広がりによって支配されている場合が多い。この不均一広がりを調べる方法として、単色光を使って特定のサイトのみを励起して共鳴蛍光を観測するという方法が考えられる。しかし、励起光と同じ波長をもつ共鳴蛍光のスペクトルを測定することは、寿命の短い色素分子の場合技術的困難があり、これまで報告がなされていなかった。今回我々はモ-ド同期レ-ザ-からの時間幅の狭いパルス光で試料を励起し、時間相関単一光子計数法に時間ゲ-トを設けて散乱光は除き蛍光だけを測定するという方法で、ポリマ-中の色素分子の共鳴蛍光スペクトルの測定に初めて成功した。このゼロフォノン蛍光線の励起スペクトルから、不均一スペクトル、すなわちサイトの分布を決定し、さらに共鳴蛍光の飽和効果を利用することにより、均一な蛍光スペクトルも決定することができた。またこのサイト分布が非晶質特有の準安定構造に対応する局所的な極小点を断熱ポテンシャル曲線上に数多くもつとする配位座標モデルでうまく理解できることを明らかにした。また同じモデルで、溶液中の色素分子や蛋白質中の発色団のスペクトルも説明することができ、蛍光のダイナミックスト-クスシフトやホ-ルバ-ニングなどの現象もうまく理解できることを示した。またホ-ル面積の温度依存性から構造的準安定状態を隔てるバリア-の高さの分布も決定した。さらに、Eu^<3+>イオンの不均一に広がった光スペクトルの解析から、ガラスやポリマ-のミクロな構造に関する詳しい知見が得られることも明らかにした。
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