研究概要 |
1.長野県西部地震の断層面に達するボアホ-ルの孔底に3成分地震計を設置した.高周波帯域まで特性の伸びている観測システムを用いて地震観測を開始し,得られた記録を用いて予備的な解析を行なった. (1)ボアホ-ル型地震計で得られた,極微小地震の波形のP波初動付近を精細に解析し,破壊の開始直後の成長過程が,従来考えられているものよりずっとゆっくりしたものであることを明らかにした. 2.昨年度までに得られた地震波形デ-タのさらに進んだ解析を行なった. (1)ボアホ-ル型地震計設置地点近くで,1986年に行なわれたアレイ観測のデ-タにより,地震モ-メントが10^<14>dyne cmより小さな地震が発生していないことを明らかにした.これは,critical crack lengthの効果であると解釈された. (2)微小地震の震源スペクトルの推定を行い,高周波側のフォ-ルオフの傾きが,従来知られていたものよりずっと小さいことを明らかにした. 3.長野県西部地震の被害調査のデ-タを整理し,本震の断層運動を再調査した. (1)余震域東部の石の飛びのデ-タから,震源近傍の強震動の推定を行ない,最大3.5gという上下方向の加速度が発生したことを明らかにした. (2)余震域東部の地割れの調査から,断層の東端の位置を推定した. 来年度は,ボアホ-ル型地震計の記録が十分畜積されるため,本格的な解析を行なう予定である.
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