研究概要 |
1920〜30年代に和達やベニオフにより深発地震の存在が明きらかにされた。当時は,深さ60kmを越える地球内部には,地震が起こり得ないとの定説が“確立"されていた。これを打破り,深発地震の存在を信頼性の高いデ-タを基に証明したのが和達である。 現在,670km以深に深発地震が存在しないというのは定説である。いろいろな人がより深い地震を発見する試みを行ってきたが,成功していない。したがって現在は,何故存在しないかの考察が行われている段階でもある。670kmより深い地震を超深発地震と名付けると,超深発地震の発見に,従来と同様な方法で短周期地震計に基づく震源決定法を用いても不可能と考え,新しい手法を採用することに決めた。超深発地震は急激な破壊(脆性破壊)と異り,ゆっくり破壊する延性破壊である可能性が高い。したがって,超深発地震の信号はノイズと間違えられている可能性が高く,従来地震と報告のある中から見つけ出すのは困難と思われる。ここでは,京都大学防災研究所で得られた精密歪計と水管傾斜計の記録を連続的に解析し,その中に信号を見つける試を行った。記録はまず回線ノイズを除去する前処理を行た後,信号検出用のフィルタ-を通し,最終的に残った信号を超深発地震の可能性のあるものとして,他のデ-タとの比較を行う。1988年から2年間の記録解析の結果,現在のところ超深発地震は検出されていない。今後は,超高性能地震計の連続記録を用い解析を行う予定である。
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