研究概要 |
(1)LEVITUS(1982)の密度,HELLERMAN & ROSENSTEIN(1983)の風のデータを活用して,四季に対応する全世界海洋の流動場を診断的に求めた。3月(2〜4月の平均で,北半球の冬季)と9月(8〜10月の平均で,北半球の夏季)の流動場を比較すると,インド洋と太平洋の熱帯海域,ウェッデル海,インド洋北部などで,変化が大きいことが分かった。 (2)年平均流動場と四季の流動場との比較を行って,年平均流動場が1年間の変動の中でどのような位置を占めるのかを検討した。 (3)粒子を投入して,ラグランジュ的に10年間追跡し,各海盆間の海水交換課程を検討した。たとえば,北大西洋の深層水の生成にはあまり季節変動が見られないこと,ウェッデル海では冬季に夏季の3倍程度の深層水が供給されていることなどが見出された。 (4)南極周極流が各大洋への輸送に対してはたす役割を検討するために,20°S以南の海域に対して,0.5°×0.5°の細かい格子のモデルで数値実験を行い,熱や物質の輸送過程に重要な役割をはたす中規模渦の再現を試み,解析を継続して行っている。 (5)3年間の研究成果をとりまとめて報告書を作成した。 (6)論文は2編発表済み(J.G.R.)で,現在投稿準備中のものが3編ある。
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