研究概要 |
原始太陽系において微粒子から微惑星への成長過程を実験的に検証するのが本研究の目的です。本年度はYAGの連続レ-ザ-を購入し,それを使って,微粒子の生成,付着成長を顕微鏡観察で研究してきました。 現在のところ物質の種類を変えて、その付着成長への影響を検討しています。ZnO,SiO_2,MgOを比較すると,この順に付着成長が起きにくくなる傾向が見られます。これはZnOの粒子が非常に不規則な形状をしていること,MgOの粒子はきれいな立方体であることなどから、粒子の形状が付着に大きな影響を与えている結果と考えられます。 一つの重要な結果としてZnOの集合体の場合,見かけの密度が,0.004gと非常に小さいことがわかりました。この様に見かけの密度が小さい集合体が原始太陽系でできると,重力崩壊なしに微惑星が成長する可能性があります。今後は,粒子サイズ,電荷,周囲のガスの種類と圧力を変えて,何が粒子の付着成長に大きい影響を与えるかを調べる予定です。 平成3年度には,浮遊状態にある微粒子の粒度分布をリアルタイムで光学的に測定する粒度分布測定装置を購入する予定です。この装置を業者から一時借りて試験的に使用してみたところ,1〜100μmの粒度分布が顕微鏡観察の結果と良く一致する傾向が見られ,しかも時間変化も観測されるなど予想以上の成果が上がりそうなことが判明しました。 本研究テ-マは世界でも初めての試みであり,研究の開始時には目的の達成に若干の不安もありましたが,来年度中に飛躍的な成果をあげられると確信しています。
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