平成3年度は、レ-ザ-光の散乱を使って粒子サイズ分布を測定する装置を購入した。この装置を使って空気中で微粒子の集積成長を観測することに成功した。この様な観測は、液相中の微粒子については二、三の報告があるが、惑星科学に関連した気相中の観測は、世界で初めてである。実験室における環境は、原始太陽系星雲中のものとは大きく異なる。たとえば粒子の数密度は実験室ではずっと大きい。したがって我々が本当に必要な情報は、実験室中での成長速度ではなく、微粒子が衝突した時にどれだけの確率で付着するかというパラメ-タ-(sticking probability)である。我々は、微粒子の空気中での動きはブラウン運動であると仮定することにより、粒子の衝突頻度を求め、観測される粒子の付着成長速度と比較することによりsticking probabilityを求めることができた。まだ限られた回数の実験を限られた物質について行っただけであるが、現在のところsticking probabilityは1に近いという結論を得ている。今後の課題として、粒子の原料、周囲の環境をいろいろ変えてsticking probabilityがどの様なparameterに強く依存するかを調べる必要がある。さらに、購入した粒子サイズ分布測定装置は、空げき率ゼロの球状の粒子サイズを測定するようにできているため、フラクタル状に集積した集合体のサイズを正確に測定できるように、デ-タの解析方法を改良する必要がある。
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