(1)石英の粒界移動の温度依存性について検討するための実験を行なった。昨年度に、温度800度、封圧800Mpaでの静水圧実験で、人工的に作った細粒石英集合体(メノウ)と粗粒石英の粒界では、メノウ側に粒界が移動すること、又メノウは粗粒化することが確認されている。今年度は、同様の実験を1000度、800MPaで4回行ない、やはり粒界が移動し、メノウは粗粒化することを認め、粒界移動量を測り、移動速度を求めた。その結果粗粒化速度と粒界移動速度では温度依存性が異なっていることがわかった。粗粒化の方が粒界移動よりも温度依存性は大きい。 (2)粗粒の石英(0.1mm程度)同志を人工的に接合させ、上記と同一条件で粒界移動が起こるかどうかを調べた。結果として、粒界移動は起こらなかった。(1)と併せて考えると、粒径が小さいことが、粒界移動には必要条件であり、粒界エネルギ-が駆動エネルギ-となっていることがわかった。 (3)上記の実験とは別の実験アセンブリを用いて、粒界移動を差応力下で起こさせる実験を試みた。実験そのものは差応力を発生させる前に終了してしまい、当初の目的を達成できなかった。しかし、技術的にはこのような目くろみが実現可能であることを確認した。 (4)差応力下で石英の粗粒化を起こさせる実験を行なった。特に同一温度、封圧、歪速度(800度、400MPa、10^<ー5>/sec)で、変形に要する時間だけ(すなわち歪)を変えて6回実験した。歪がある程度大きくなると(40%以上)石英組織は、あまり変化しなくなることを確認した。
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