研究概要 |
地下ダムの計画・設計・施工の各段階で得られるデータ・資料には,試掘井戸資料,地下水位観測記録,揚水試験記録をはじめ,帯水層に関する有効空隙率,透水係数など各種設計数値データから,地下ダム建設予定地域における日降水量,日蒸発散量,日平均気温,日照時間などの気象データに至る膨大なものがある。 これらのデータはいつでも必要に応じて取り出し、再利用が行えるように、データベースとして整理・保存する必要がある。今回,水文気象的手法による水収支解析で広く利用される.地下水位観測記録データならびに降水量,気温,蒸発散量等の気象観測データに関して,データベース化を行った.地下水位観測記録データについては,現在のところ沖縄県宮古島における皆福地下ダムおよび伊是名島千原地区地下ダム建設予定地域における過去数年間にわたるデータ,福岡県粕屋郡宇美町地下ダム計画地域,同須恵町地下ダム計画地域における過去4年間分のデータについて収録している.一方,気象データに関しては,日本気象協会が提供する福岡,熊本および沖縄県の過去30年間にわたるSDPデータ等についてデータベース化を行った. これらの地下水位観測データおよびSDP気象データに関するデータベースを利用すると,日々の降水量に対応した蒸発散量およびその日における地下水位から地下水涵養量,地表流出量を算出したりするための各種データ入力作業が大幅に省力化できるようになった。そのほか,月単位での降水量に対する地下水涵養量を算定したり,過去の気象データに基づき,最小降水量月における開発可能地下水量の予測といった,水収支に関する各種シミュレーション等が今回作成したデータベースを活用することにより容易に行えるようになった。
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