研究概要 |
ピエゾ光学変調器を用いた磁気円二色性スペクトル測定装置を作製した。この装置を用いて、(1)Al_2O_3:Cr,(2)CaS:Euの磁気円二色性発光(MCPL)スペクトルおよび、(3)CuAlS_2:Tbの磁気円二色性吸収(MCDA)スペクトルを測定した。 (1)Al_2O_3:CrのMCPLスペクトル 0.05,1.0,3.0mol%のCrを含むルビ-単結晶においてMCPLを測定した。孤立CrイオンのR_1,R_2線の他、Cr対による発光線についても磁気円二色性が見られた。R_2線のMCPL線の形状は対称的で、配位子場理論によってよく説明された。一方R_1線は非対称な形状を示し積分強度はゼロにならず理論的に説明できなかった。何らかの光誘起磁気モ-メントによるか、基底状態の軌道角運動量が完全には消滅していないことによると考えた。 (2)CaS:EuのMCPLスペクトル 希土類添加CaSは、カラ-EL材料として研究されているが,単結晶による基礎デ-タは殆んど得られていない。今回ア-クイメ-ジ炉で作製されたCaS:EuについてMCPLを測定し、MCDAとの比較を行なった。通常のPLは幅の広い発光帯を示し、その高エネルギ-端に鋭いゼロフォノン線を示すが,この位置で顕著なMCPLスペクトルを示した。この形状はMCDAと一致した。しかしMCPL,MCDAの他の構造は、単純な折返しの関係になく、複雑なバイブロニック結合の存在を示唆した。 (3)CuAlS_2:TbのMCDA 新しい発光用母体材料としてカルコパイライト型のCuAlS_2(Eg=3.5eV)をとりあげTbの添加を行った。Tbは3価となることがESRから確認された。結晶は幅広い黄色の発光帯に重畳したTb^<3+>4f^8多重項間のfーf遷移による発光線を示した。MCDAによりはじめて、吸収では見られない励起状態(3.3eV)の存在が確認され、エネルギ-伝達による発光機構が議論された
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