研究概要 |
本研究の目的は、われわれが最初にフォトリフラクティブ効果を確認した新しい材料であるGaPの基礎的な特性を測定することにある。はじめに室温において、二光波混合の増幅ゲイン係数と時定数を、二光波の交角や光強度を変えながら測定した。光源には633nmのHeーNeレ-ザ-と806nmの半導体レ-ザ-を用いた。この結果、GaPはGaAsやInPにくらべ短波長で使用できること、とくに0.8μm帯のGaAlAsレ-ザ-に感度をもつこと、フォトリフラクティブ特性はGaAsやInPと同程度の性能であることが確かめられた。また、結果は単一キャリア、単一トラップを仮定した標準理論とよく一致した。次に温度を変えて同じくゲインと時定数の測定を行なったところ,低温(約150K)において、浅いトラップ準位に起因すると思われる異常な振舞いが観測され、同時にほぼ同じ温度でフォトクロミック効果が観測された。低温特性について現在も測定を続けているが、フォトリフラクティブ効果の異常とフォトクロミック効果が同一のトラップによるかどうかは現時点では確定していない。まだ解明すべき点は多々あるが、この事例は、フォトリフラクティブ効果が半導体の禁止帯中に位置する深いトラップ準位に対するひとつの測定法となることを示すものである。次に、応用として、位相共役波の発生を試みた。通常の外部ポンプ型の縮退4光波混合の配置で行なったところ、位相共役波が観測された。反射率はまだ0.3%と低いが,応答時間は10ms程度で強誘電性結晶に比べ速く、有用性が確認された。外部電界をかけ、ゲインを高めれば、自己ポンプ型の位相共役波発生も可能となるであろう。
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