研究概要 |
地球環境の破壊の典型的事故として一躍有名になった超大型タンカ-EXXON VALDEZの座礁事故についての,詳細をきわめる,NTSB(アメリカ)国連運輸安全委員会)による海難事故調査報告書が入手できた。この事故で海面に流出した原油の総量は,これまでにイギリス海狭付近で発生した事故などに比べれば、むしろ少量なのであるが,事故にかかわった海技者のヒュ-マン・ファクタ-の側面が問題とされた。 本年度は,この報告書;“Grounding of the U.S.TanKship EXXON VALDEZ on Bligh Reef,Prince William Sound near Valdez,Alaska March 24,1989"の詳細研究を実施した。 この報告書は,総ペ-ジ数255,そのうち本文178ペ-ジ,77ペ-ジが付録という構成である。178ペ-ジの本文を全訳した。 NTSBが本報告で,この事政のもつとも確からしい原因と結論づけているのは,下記の諸項目である; (1)三等航海士が,過重労働の連続による疲労のために,適切な繰船ができなかったこと, (2)船長が,アルコ-ル障害のため,適切な航海当直体制を指示できなかったこと, (3)Exxon社の,乗組み配乗の不適正, (4)USCG(アメリカ沿岸警備隊)の,装備保守不適正・人員配置不十分・訓練不足などのために,VTS(船舶交通サ-ビス)が有効に機能しなかったこと, (5)パイロット業務の提携が不十分だったこと。 なお訳文は研究資料として,100部をワ-プロ印刷した。
|