研究課題/領域番号 |
02452089
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
航空宇宙工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長島 利夫 東京大学, 工学部, 教授 (70114593)
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研究分担者 |
伊藤 博視 東京大学, 工学部, 助手 (20211055)
河野 通方 東京大学, 工学部, 教授 (60011194)
谷田 好通 東京大学, 先端研, 教授 (50013628)
平田 賢 東京大学, 工学部, 教授 (70010775)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 超音速燃焼 / スクラムジェット / 衝撃波 / バレルショック / 焼料噴射 / 直接シミュレ-ション / Flame |
研究概要 |
次世代高速航空宇宙推進システムの形態として有望な、エア-ブリ-ジングエンジン組込型において最も困難な課題は、超高速気流中への燃料ガス噴射による確実な着火と保炎、短い燃焼距離、そして、少ない全圧損失の3条件を達成する噴射方法を探ることである。本研究では平行壁間の超音速流(マッハ数2)に対し、壁面フラッシュに設けた円型ソニックノズルから水素ガスを垂直噴射する実験を行い、衝撃波の発生やこれと干渉する境界層の剥離および気流と水素ガス噴流との混合拡散の様子を、シュリ-レン画像をはじめ光学的可視化や噴射孔近傍の静圧・濃度分布および下流位置の全圧損失・濃度分布などの計測結果を基に解析した。単一の噴射孔を用いた実験では、噴射圧に比例して上流の境界層剥離域が拡大し、噴流内部のバレルショックとマッハディスク構造も拡大した。また、下流全圧損失係数の流路断面プロファイルは、半値巾を用いれば噴射圧によらず一定となり、噴流の相似性が確認された。一方、2ケの噴射孔をタンデム配置し、両者の噴射圧の和を一定に保ちながら比率を変化させて同時噴射させた実験では、2孔の中間位置に静圧がほぼ一定、かつ、水素ガス濃度が極めて高い干渉領域が存在し、着火・保炎に有望な手掛かりを与えるものと判断された。さらに、噴射圧力比に対する下流全圧損失係数の傾向から、上流で弱い噴射を行うと損失が極小になる有利な状況も見出された。こうした結果は、噴射パタ-ンの工夫によって最適な噴射条件を実現できる可能性を示唆しており重要と考えられる。最後に、気流全温を約1000℃まで加熱して行った実験結果では、水素ガスの自発着火が確認され、燃焼と静圧上昇との良い相関や、噴射孔直後流域への主流廻り込みの存在および下流バルクフレ-ムと呼ばれる大規模な火炎など、幾つかの特徴的な現象が見出された。 以上の実験解析の他に、本研究では、直接シミュレ-ションモンテカルロ法による数値解析コ-ドを新たに開発し、噴流モデルにこれを適用した結果は、実験で得られた流れ場の構造の特徴を良く捕えていることが分った。
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