研究課題/領域番号 |
02452093
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
石井 仁 静岡大学, 工学部, 教授 (90022235)
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研究分担者 |
東郷 敬一郎 静岡大学, 工学部, 助教授 (10155492)
沢木 洋三 静岡大学, 工学部, 教授 (30005417)
佐々木 彰 静岡大学, 工学部, 教授 (80022309)
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キーワード | 走差トンネル顕微鏡 / 疲労すべり帯 / マイクロクラックの発生 |
研究概要 |
Au、Ag、Cuなど走差トンネル顕微鏡(STM)観察に用いる板厚0.2mmの各種高純度金属薄板試料に、精度良く繰返し歪を負荷できる試験装置の製作が完了した。この様な薄板試料に対し通常の疲労試験機は使用できない。従って、ステッピング・モ-タ-の駆動力で負荷を与える両端単純支持4点曲げ疲労試験機を設計、製作し、幅5mm長さ30mm程度の小さな寸法の試験片でも精度良く繰返し歪が加えられることを確認した。この試験機を用いて試験片に疲労すべり帯、およびマイクロ・クラックを発生させ、STMの観察に入る予定である。一方、観察に用いるSTMに関しては、従来の装置に加え、新たに液体環境でも像の観察が可能な装置を製作すべく、現在電気回路の製作が進行中である。これを用いることにより、疲労すべり帯及びマイクロ・クラックの発生過程における環境の効果を、その場観察で明らかにできる可能性が増加する。なお、この新たに製作中の装置の機械的部分の製作は完了している。また、今回購入したワ-ク・ステ-ションを用いてのデ-タ取り込み、画像処理などのプログラム開発はほぼ終了している。以上、疲労すべり帯あるいはマイクロ・クラックのSTMによる観察そのものは未だ実施されていない状況ではあるが、必要な周辺の準備がほぼ終了に近いことから、近々観察に取り掛かれる予定である。現在までの研究実績としては、予備的な検討として行ったCuについてのSEM観察から、疲労すべり帯発生に関し次のような結果を得ている。疲労すべり帯が発生した結晶粒の全結晶粒に対する割合は、繰返し数と共に増加するが、次第に飽和し、一定となる。この一定となった時の値は結晶粒径が小なる程大である。すべり帯のパタ-ンはフラクタル特性を持ち、その次元は結晶粒径に関係なく、0.3〜0.7の値である。
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