研究概要 |
交流電位差法を用いて三次元表面き裂の応力拡大係数K_Iを計測・評価する手法を開発し,その有効性を検証した。本手法は,三次元表面き裂をまたいだ二点間で負荷の変化に伴い計測される電位差変化と理論解析を照合し,逆問題解析によりK_Iを評価するというものである。成果をまとめて以下に列記する。 1.強磁性体および常磁性体の両者において,心次元き裂試験片に新たなき裂進展を起こさない程度で作用させた負荷を変化させたとき,電位差の変化量とK_Iの変化量の間には比例関係が存在することを見出した。 2.部材表面に垂直な半だ円板状表面き裂に対し,部材表面上でき裂の対称軸と直交する線上,き裂から等距離だけ離れた二点間で電流を点入出力する問題において,表面での電位分布は二次元Laplace方程式により支配されることを示した。 3.透磁率μと電気伝導度、σなる二つの物性値を,独立してではなく√<μ/σ>なる形で一つにまとめて扱えることを示し,これをγと表した。 4.負荷に対する電位差の変化を表現するため,き裂前縁に沿って分布するラインインピ-ダンスを導入した。その特性をγの変化によって決定した。ここにγの変化は二次元き裂の実験に基づき,K_Iに比例する形で与えた。 5.実際に三次元表面き裂へ本手法を適用した。実験は三点曲げで行い,二つの異なる大きさの負荷に対して得られた電位差変化から,き裂前縁の応力拡大係数を一定と仮定した場合について,逆問題解析により負荷の変化に伴う応力拡大係数の変化を評価し,本手法の妥当性を示した。
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