研究概要 |
1.三次元表面き裂をまたいだ二点間で負荷の変化に伴い計測される電位差変化と,先に開発した交流電場の理論解析手法を用いた計算結果を照合し,逆問題解析により応力拡大係数K_Iを評価する方法を提案した。 2.実際に三次元表面き裂へ本手法を適用した。実験は三点曲げで行い,二つの異なる大きさの負荷に対して電位差変化を精度よく計測した。この実験結果を用い,き裂前縁のK_Iを一定と仮定した場合について,逆問題解析により負荷の変化に伴うK_Iの変化を評価した。さらに既存の弾性解析結果との比較により,本手法により評価されたK_Iの値が有効であることを検証した。 3.混合モ-ドき裂の計測における交流電位差の負荷荷重依存性について基礎的な検討を行い,以下のことを確認した。すなわちK_I/K_<II>の値が小さいき裂においては,計測電位差はき裂閉口の顕著な影響をうける。一方,K_I/K_<II>の値が大きいき裂においては,き裂を十分に開かせた状態で電位差を計測すれば,き裂先端近傍における弾性せん断ひずみの増加により電位差変化も増加する。ここにK_I/K_<II>の値が2程度の荷重混合比では,電位差変化に対するK_<II>の影響はK_Iの影響に比べそれほど大きくはない。 4.き裂計測における交流電位差の負荷荷重依存性に及ぼす周波数の影響について検討し,次の結果を得た。交流電流の周波数fが1〜13kHz付近の範囲においては,電位差変化と応力拡大係数の変化の間に,本研究組織が従来から10kHzに対して得ている如き比例関係が存在する。したがってこの範囲の周波数は交流電位差法による応力拡大係数の計測に用いることができる。なお上記関係における比例係数とfとの間には比例関係が存在することを発見した。
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