今年度の成果について概要を報告する。 1.難削材料の仕上げ面の評価に関し、とくにTiー6Alー4Vを例に取り、鏡面切削後の表面性状(残留応力)の測定を行った。この材料は、α及びβの2層構造であり、残留応力の測定は比較的困難な材料であることが分かったために、現在その評価について検討している。 2.SEM内において、微小切削を行うための測定装置を設計・試作し、その装置を用いて一般顕微鏡内で切消実験を行った。その結果、この装置は有効に働くことを確認し、切削実験を実施している。また、切削力は正常に測定できること、SEMの真空チャンバ-内でも十分に切削でき、その観察が出来ることを確認している。 3.硬脆材料(セラミックス)の無欠陥表面加工をレ-ザを用いて行い、レ-ザ加工による微少な割れの観察、残留応力などの測定を行い、さらに、曲げによる破壊強度を測定した結果、適切な加工条件を設定することにより、無欠陥レ-ザ加工が可能であることを明らかにした。 4.新しい表面状態(現在、表面粗さをnmのオ-ダで測定できる)の測定装置を設計・試作中であり、今年度中にプロトタイプが完成する予定である。 今後の展開として、次の命題を考えている。 1.微小切削装置をより高精度化するための改造を計画している。この改造により、安定した観察が可能になる予定である。 2.単結晶シリコンの無欠陥鏡面研削加工を実現するための鏡面研削加工、微小研削実験などを行い、研削加工のあらたな分野の拡大を図る。 3.微小表面の測定に基づく加工表面の表面性状が評価できるシステムを確立し、微少領域における切削現象を明らかにする。 4.以上の研究により、無欠陥加工法に必要な加工条件を確立する。
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