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1991 年度 実績報告書

高速パルス酸素原子源を用いたスペ-ストライボロジ-の研究

研究課題

研究課題/領域番号 02452112
研究機関大阪大学

研究代表者

大前 伸夫  大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)

研究分担者 田川 雅人  大阪大学, 工学部, 助手 (10216806)
キーワードトライボロジ- / 低地球軌道 / 原子状酸素 / 固体潤滑剤 / 表面構造変化
研究概要

平成2年度の研究でプロトタイプが完成した高速パルス原子状酸素発生装置の性能を向上させ,原子状酸素ビ-ムのエネルギ-を低地球軌道上の値である5eVとするとともに,30eVまで可変できるよう改良を加えた。また,フラックスも10^<16> atoms/m^2s以上を得ることができたので,当初の目標である低地球軌道上(500km前後)の原子状酸素環境シミュレ-タ-として世界に例を見ない実験装置として仕上げることができた。本年度は酸素プラズマを発生させるためのヘリウムシ-ドを一切使用せず,純原子状酸素ビ-ムを得た。クセノンア-クフラシュ光によるガスブレ-クダウンに加え,小型YAGレ-ザ-を補助光源として使用することによってこのブレ-クダウンの作動を確実にしたことが原因の1つとして挙げられる。また,フラックスの同定には超高感度水晶振動子マイクロバランス法による銀薄膜の酸化現象を応用し,その高精度検出を実現した。スペ-ストライボロジ-に使用されている二硫化モリブデンは原子状酸素によってSO及びSO_2として硫黄が脱離した後Mo酸化物が形成されることがXPSを用いた分析から明らかとなった。このため,摩擦係数は0.2に近い値まで上昇することがある。HOPGグラファイトもCーO及びC=Oボンドが多数発生し,その反応が進行するとカルボキシル基が生成されることが同じくXPSによって解析された。このように固体潤滑剤は激しい性能の劣化が見られるため,低地球軌道上の使用は有望とは考えられない。宇宙機器材料として最も多用されるカプトンも原子状酸素によって著しい構造の変化が見られ,(CO)_2N及びケトン基の減少が顕著であった。以上の研究成果にはNASAのSTS実験においても得られていない結果も含まれており,完成した原子状酸素発生装置も用いてさらに照射実験を行えば,スペ-ストライボロジ-設計の最適化に迫るものと考えられる。

  • 研究成果

    (14件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (14件)

  • [文献書誌] M.Tagawa: "Influence of 5eV Atomic Oxygen on Surface Properties of Ag Films and Graphite" 28th Aerospace Science Meeting,American Institute of Aeronautics and Astronautics,Reno,Nevada,AIAA 90ー0728. (1990)

  • [文献書誌] M.Tagawa: "Photoー,Fieldー,and Triboー Stimulated Exoelectron Emission from Aluminum and Graphite" Proc.Jpn.International Tribology Conference,Nagoya. 1159-1164 (1990)

  • [文献書誌] N.Ohmae: "High Voltage Field Ion Microscopy of Solid Lubricants" Proc.Jpn.International Tribology Conference,Nagoya. 1827-1832 (1990)

  • [文献書誌] 大前 伸夫: "摩擦の計測技術" トライボロジスト. 35. 770-774 (1990)

  • [文献書誌] 田川 雅人: "イオンビ-ム法による原子状酸素ビ-ムとその表面反応" トライボロジ-会議 '91,講演予稿集. 583-586 (1991)

  • [文献書誌] 大前 伸夫: "高速分子線バルブを用いた原子状酸素発生装置の試作" トライボロジ-会議 '91,講演予稿集. 581-582 (1991)

  • [文献書誌] N.Ohmae: "Field Ion Microscope Studies of Wear Particle Formation as Related to the Mesoscopic View of Tribology" Proc.XV III LeedsーLyon Symposium on Tribology,INSA,Lyon. (1991)

  • [文献書誌] 冨田 正和: "5eV原子状酸素発生装置の開発" 第52回応用物理学会学術講演会,講演予稿集. 571-571 (1991)

  • [文献書誌] M.Tagawa: "Surface Characterization of Carbon Exposed to 5eV Energetic Atomic Oxygen Beam Studied by Wetting Force Measurement" Jpn.J.Appl.Phys.30. 2134-2138 (1991)

  • [文献書誌] M.Arita: "Investigation of Tribological characteristics of Solid Lubricants Exposed to Atomic Oxygen" Proc.STLE/ASME Tribology Conference,St.Louis,Mossouri,91ーTCー3Dー1. (1991)

  • [文献書誌] 大前 伸夫: "マイクロトライボロジ-" トライボロジスト. 37. 10-16 (1992)

  • [文献書誌] 冨田 正和: "二硫化モリブデンへの原子状酸素の影響" 第39回応用物理学関係連合講演会予稿集. (1992)

  • [文献書誌] 田川 雅人: "原子状酸素ビ-ム照射による固体表面の反応" トライボロジ-会議 '92春,講演予稿集. (1992)

  • [文献書誌] 大前 伸夫: "パルス状酸素分子線励起による原子状酸素発生装置" トライボロジ-会議 '92春,講演予稿集. (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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