研究概要 |
1.粗い2円筒転がり接触面における接触応力および応力拡大係数の解析 歯車歯面に発生するピッチングやマイクロピッチングの発生状態と関連づけながら,前年度開発したき裂面での固着と滑りを考慮した解析法を用いて理論的解析を行っている.その結果,内部に発生した円形の傾斜内部き裂は,比較的浅い場合表面粗さの突起接触の影響により最も浅いき裂前縁部において急速なき裂伝ぱが起り表面に出現すること,半円形の傾斜表面き裂の場合は,浅いき裂は突起接触とき裂面の固着・滑りの影響により,低速側では接触点の移動方向にしだいに深くなるき裂が,高速側では逆方向に傾いたき裂が,それぞれ,伝ぱしやすいことが理論的に予測されるなど実際の状態をよく説明する結果が得られつつある.2.粗面の繰り返し圧縮試験におけるき裂の観察 平面の同一箇所に対し粗い旋削円筒面を周方向位置を変えて繰り返し押し付け,き裂の発生状態を調べている.加工目高さとピッチを変えるとき裂を伴わない摩耗からはっきりしたき裂まで種々の状態が観察されいてる.3.フレッチング試験 繰返し圧縮試験と同じ試験機を用いて,一定法線荷重下で揺動運動させたときの転がり軸受のフレッチングを調べた.接線力の小さい転がり接触下であることと表面粗さが小さいことにより,摩耗と形状変化が観察されている.4.二円筒転がりー滑り接触におけるピッチングき裂の観察 2円筒試験機を用いて,ピッチングき裂の進展状況を観察している.とくに,応力拡大係数の解析結果と関連して,き裂を発生させた後に回転方向や滑りの方向を変えたときのき裂進展について調べたが,回転方向を変えることにより,き裂部の表面形状が変化するという新しい事実が観察されている.また,ピッチングとマイクロピッチングを2円筒試験で出現させ発生条件を明確にするとともに,突起接触を考慮した応力拡大係数の解析結果からその説明を試みている.
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