研究概要 |
1.粗い2円筒転がり接触面における接触応力および応力拡大係数の解析 通常の円周方向研削のほか,軸方向研削,円周方向に対しほぼ45゚の方向に加工目をもつような研削の3つの異なる研削法によって仕上げた円筒の実測した粗さ形状ならびに三角形状突起によりモデル化した形状を用いて,接触圧力のみでなく内部の等価応力分布およびき裂の存在を仮定したときの応力拡大係数を計算し,円筒と平面の接触における粗さ加工目の方向性や突起傾斜角度などの影響を調べた.その結果,粗さ突起による表面直下の高い応力集中域と通常のヘルツ接触でも生じる内部の等価応力の極大とが存在し,その中間に等価応力の小さい,き裂伝ぱの起りにくい領域が存在することが実証された.これによってマイクロピッチングと通常のピッチングの生成条件の違いが明確に説明できることが分った.2.二円筒転がり一滑り接触におけるピッチングき裂の観察 上述の3種の加工目方向の高硬さ円筒を相手側としたときのピッチングき裂の発生と進展状況を勧察し,微小な初期き裂が相手側加工目方向に一致して生じること,しかも,駆動条件により突起接触の過酷さが同等と考えられるピッチで同様な形状をもつ複数のき裂が発生していることが明かとなり,突起接触域と微小損傷域との関連性が実証できた.3.フレッチング試験 転がり軸受を小さい角度で揺動運動させて,フレッチングあるいはフォルスブリネリングとも言われる損傷の発生状態を調べ,メカトロ機器において揺動下で発生した転がり軸受の損傷を実験的に再現するとともに,荷重の影響,潤滑剤としてのグリースの有無の影響などを解明した.また,茶褐色に変色したグリースからフェログラフによって無潤滑の場合と同様な酸化摩耗粉の生成が確かめられた.
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