呼吸器系におけるガス交換に関して下記の通り実験的・数値解析的研究を行った。 実験:拍動流発生装置(駆動装置:昨年度購入)及び2次元鼻口モデルを用いて、空気取入口における拍動流をスモ-クワイヤ法により可視化し、それより一周期の速度分布の変化を調べた。その結果、高拍動数においては管路中心部と壁面近傍とが位相差をもって変動する結果、管中心部でplug流状態になることがわかったが、Steady Streamingは確認されなかった。そこで、タバコ煙法を用いて空気取入れ口付近に注目して調べたところ、Steady Streaminが生じていることが確認された。また、熱線流速計を用いて流速変動を、ガス分析計(本年度購入)を用いて拡散を詳細に調べている。 数値計算:(1)鼻口における拍動流を差分法により解析しており、現在拍動流におけるSteady Streamingを調べている。(2)分岐管における拍動流とガス拡散を2次元モデルにおいて有限要素法により数値解析した。まず任意の流量及び振動数の拍動流の流れ場を求め、次にそれを用いてガス拡散を調べた。その結果、StreamingはReynolds数が高く、Wormaersley数が低い程顕著に現れ、また拡散はStreamingの強さに比例して促進されることが明らかになった。(3)分岐管における混合・拡散モデルを用いて呼吸器系全般におけるガス交換を解析した結果、高頻度呼吸においては非同期呼吸(Pendelluft)により正常呼吸と同様に効果的にガス交換が行われることが明らかになった。
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