呼吸器系におけるガス交換に関して下記の通り実験的及び数値解析的研究を行った。 まず鼻口に関しては、拍動流発生装置及び二次元鼻口モデルを製作し、それらを用いて空気取入口における拍動流をスモ-クワイヤ法により可視化し、それより一周期の速度分布の変化を調べた。その結果、高拍動数においては管路中心部と壁面近傍とが位相差をもって変動するようになり、管中心部でplug流状態になることがわかったが、Streamingは確認されなかった。そこで、スモ-ク注入により開口部近傍における流れを可視化し、Streamingが生ずることが確かめられた。また、熱線流速計を用いて流速変動を、ガス分析計を用いて拡散をより詳細に調べている。さらに、鼻口における拍動流を差分法により解析している。 分岐管に関しては、2次元モデルにおいて有限要素法により数値解析を行った。まず、任意の流量及び振動数の拍動流において、NaviorーStokesの式を解いて流れ場を求め、それを1周期にわたって積分してStreamingを調べた。さらに、その結果を用いて、拡散方程式を解き、分岐管におけるガス拡散を調べた。その結果、StreamingはReynolds数が高く、Wormersley数が低い場合程顕著に現れ、またStreamingの強さに比例して拡散が促進されることが明らかになった。 一方、分岐管における混合・拡散モデルを提案し、呼吸器系全体におけるガス拡散を解析的に調べた。その結果、正常呼吸の場合、生理学的デ-タとよく一致する結果が得られ、本解析法が妥当性が示された。さらに、高頻度呼吸においては、非同期呼吸(Pendelluft)により正常呼吸と同様に効果的にガス交換が行われることが明らかになった。
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