研究概要 |
極低温,超高真空状態の宇宙環境で構造物の熱設計をする場合,熱輻射率デ-タが必要となるが,低温域での各種材料のデ-タは,高温域に比べて非常に少なく,また,それらは大きく異なるのが現状である。 従って,今年度は,低温域での熱輻射率の高精度測定法の開発を試み,高純度金属(銅)で実験し,問題点を検討することにした。 研究実施計画を2つに大別し,得た成果などを下記に列記する。 1.低温域での熱輻射率の高精度測定法の開発 (1).ガ-ドヒ-タによる測定試片からの熱損失の制御 理想的な熱輻射率測定法は,輻射率未知の材料から作製した測定試片を低温,真空槽内に熱的,空間的に孤立して置き,輻射熱量と温度を非接触で測定することであるが,現実には困難である。従って本研究では,極細線熱電対で試片を吊し,測温すると共に,試片から熱電対を通した熱損失を極小にするためガ-ドヒ-タを使用し,前記の条件を満足させた。この結果,低温域で輻射率の高精度測定が可能となった。 (2).測定時間の短縮化 過去の研究では,測定が数日間に及んでいたが,薄板,細綿試片(直径,厚さ1mm以下)と,前述のガ-ドヒ-タを逆の目的で使用することで,1日以下と大幅に短縮できることも分かった。 2.低温域での銅の全半球輻射率の測定 約130Kから350Kまでの輻射率の高精度デ-タを収集し,諸家のデ-タ,我々の高温域のデ-タと比較,検討した。200K以下のデ-タ間の大きな差は,測定精度によること,焼鈍処理でデ-タが最大50%小さくなり,合理的な温度依存性を示すこと,などが分かった
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