研究概要 |
代替フロン作動媒体が水平二重管式熱交換器で凝縮あるいは蒸発する場合の伝熱及び流動特性を実験的に解明し,管内熱交換器の最適設計法を確立するために,本年度は以下の研究を行った. 1.局所の伝熱量,圧力,蒸気温度,管壁温度を測定することができ,かつ流動状態の観察ができる水平二重管式の試験熱交換器(伝熱管径:9.52mm,全長:6000mm)を試作した. 2.HCFC22,CFC12,HFC134aの水平管内蒸発熱伝達に関する実験を伝熱面が清浄な場合と汚れた場合について行い,その結果を従来の実験式と比較し,並流式と向流式の熱交換方式について汚れが熱伝達に及ぼす影響をそれぞれ検討した. (1)向流式の場合,汚れによる伝熱促進率(約50〜100%)は,クオリティに依らずほぼ一定である. (2)並流式の場合,汚れによる伝熱促進率は,低クオリティ域では50〜100%であるが,クオリティの増加とともに減少する. (3)核沸騰伝熱支配域が並流式と向流式で異なることによって,(1)と(2)の違いが引き起こされる. (4)伝熱面が清浄な場合の純冷媒の実験結果は,低圧では従来の実験式で比較的よくまとめられるが,圧力が高くなると従来の式ではまとめられない.圧力の影響については現在検討中である. 3.正確な物性値デ-タがあるHCFC22+CFC114を供試流体として非共沸混合冷媒の水平管内凝縮熱伝達に関する実験を行い,凝縮液の熱伝達及び蒸気相の物質達伝について検討した. (1)純冷媒の凝縮液の熱伝達に関する実験式を得た. (2)混合冷媒の凝縮液の熱伝達特性は純冷媒の場合と同じであると仮定して,蒸気相の物質伝達の実験式を得た. (3)得られた熱伝達及び物質伝達の実験式を組み合わせて混合冷媒の凝縮伝熱特性の予測ができる.
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