研究概要 |
局所の伝熱量,圧力,蒸気温度,管壁温度を測定することができ,かつ流動状態の観察ができる水平二重管式の試験熱交換器(伝熱管:平滑管(内径8.4mm)及び内面らせん溝付き管(平均内径8.7mm)内で代替フロン作動媒体が蒸発あるいは凝縮する場合の伝熱及び流動特性を実験的に検討し,以下の成果を得た。 1.昨年度取得したHCFC22,CFC114,CFC12,HFC134aの水平平滑管内蒸発熱伝達の実験デ-タを,強制対流熱伝達と核沸騰熱伝達との和で表すChenの考え方に基づき整理し,環状流域のデ-タを±20%以内の誤差で予測できる実験式を得た。 2.純令媒に関する実験式をもとに,非共沸混合冷媒HCFC22+CFC114の蒸発熱伝達を予測するための実験式を作成した。 3.溝付き管を伝熱管とした蒸発器を,HCFC22を作動媒体とした蒸気圧縮式ヒ-トポンプル-プに組み込み,定常熱伝達及び冷媒流量をステップ変化させた場合の過渡熱伝達に関する実験を行った。 (1)定常熱伝達係数は平滑管に関する実験式の2〜4倍高い値となる。 (2)溝付き管の定常流動様式は,平滑管の場合に比してより低いクオリティで波状流から環状流へ変化し,クオリティ0.8〜0.9で噴霧流へ遷移する。 (3)冷媒流量を増加あるいは減少させた場合の非定常の局所の熱伝達及び流動特性を示すとともに熱交換器の熱容量を考慮して非定常蒸発熱伝達係数を試算し,非定常の熱伝達係数が定常時よりも小さくなることを示した。 なお,管内凝縮器の過渡特性の研究は,管内蒸発器の過渡特性の研究に予想外の時間を要し,まとめるに至っていないので,現在関連実験を継続中である。
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