本年度は3年計画の2年目であり、当初の計画通り、電磁超音波法の中温減(1000℃以下)への適用について研究を行った。具体的な内容を以下に示す。 1.電磁超音波の発生検出 : 中温域に適用する電磁超音波の発生検出方法について、周波数1MHz、ピ-ク電流10Aの単発パルス電流を用いて、常温において原理確認実験を行った。その結果、パルス電流による初期ノイズが超音波の検出に大きな影響を与えることが明らかになった。今後、初期ノイズを除去するためのダミ-コイルを用いた検出方法を用い、ピ-ク電流を大きくし、超音波強度を強める方法を進める。 2.渦電流よる加熱 : 周波数1MHzでピ-ク電流4Aの連続パルス電流を用いた場合、常温において、アルミニウムで1.8s後に0.03K、発熱体用カ-ボンで0.2s後に0.1K、そしてカ-ボン煉瓦で9s後に0.5Kの温度上昇が観測された。発熱体用カ-ボンに対する300℃における実験では、試験部内での温度分布が、試料内の微小な温度上昇の障害となることがわかった。今後、この中温域での温度分布による熱電対の起電力差を電気的に除去し、微小な温度上昇を検出する方法を進める。 3.超音波速度の測定 : 超音波の検出が十分でないので、超音波速度を測定するには至っていない。基本原理は前年度確認済みであるので、今後、1項と合わせて試料の寸法比を調整し、測定を進める。 4.熱拡散率の測定 : 常温において、2項のフ-リエ数が1以下での温度履歴から、発熱体用カ-ボンおよびカ-ボン煉瓦の熱拡散率をそれぞれ50ー60mm^2/sおよび7ー10mm^2/sと求めることに成功した。しかし、まだ若干バラツキが大きく、今後、温度上昇量を大きくするなどの改善が必要である。
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