1.室温における電磁超音波法に関する研究:最初に、単発のパルス電流のピーク値を数百Aとすることにより、電磁超音波を発生検出することに成功し、検出波形の位相差から音速を測定する方法について研究を行い、アミルニウム、ステンレス網および炭素耐火物の音速を透過法により測定することに成功した。そして、電磁超音波探触子を熱拡散率測定における表面加熱装置として応用するためには、単発のパルス電流では、誘導加熱による温度上昇量が不十分であることが判明した。そこで、数十Aのピーク値を持つパルス電流を繰り返し周波数1kHz程度で断続的に通電することにより、試料表面での温度上昇が確認され、炭素耐火物とステンレス網の熱拡散率をステップ状加熱法により求めることに成功した。また、誘導加熱による内部発熱には、試料面方向と深さ方向に発熱分布があるため、それが熱拡散率に与える影響について検討した。最後に、室温における実験から、高温域において熱拡散率と音速を同時測定するための条件について検討を行った。 2.高温における電磁超音波法に関する研究:電磁超音波を検出するためには、検出系統を電磁波に対して遮閉できる高温用構造とする必要のあることが判明した。したがって、高温域において音速の測定には至っていない。一方、タングステン製の電磁超音波探触子を用いた誘導加熱実験により、1200℃までの温度域では、C/C複合材料(2次元織り)について、試料裏面の温度上昇を確認することに成功した。また、700℃までの温度域では、C/C複合材料について、フーリエ数が1以下となる試料裏面での温度履歴を観測することができ、その積層方向の熱拡散率を求めることに成功した。700℃までの測定によれば、C/C複合材料の熱拡散率は温度が高くなるにしたがって小さくなることが判明した。
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