研究概要 |
本研究は,薄いフィルム状の静電アクチュエ-タを積層化することにより,筋肉と類似の機能を有する,高力密度で柔軟なアクチュエ-タを開発することを目的とする.静電人工筋は,多数の帯状電極を有する固定子と,抵抗体層を持つ移動子の、2枚のフィルムからなる,新たに考案した方式の静電アクチュエ-タから構成される.本研究では,フィルムアクチュエ-タの,材料・設計・製作・制御等の要素技術を高度化し,実用的な人工筋を開発することを目指す.平成3年度においては,以下の研究成果が得られた. 1.フィルムアクチュエ-タでは,フィルムを移動時に瞬間的に浮上させることで摩擦を減らしている.光ファイバセンサを用いて,跳躍運動を測定した.浮上量は1μm以下であった.固定子・移動子間に,ガラス微粒子を挿入すると跳躍量が増え,摩擦が減少した.これは,固定子・移動子間の空気の存在が跳躍運動に影響を与えていることを示唆している. 2.フィルムアクチュエ-タの駆動分解能を向上させる,マイクロステップ駆動法を開発した.従来の方法では,駆動分子能は電極ピッチに等しかったが,マイクロステップ駆動により,電極ピッチの1/40以下の分解能で駆動することが可能となった。 3.電極ピッチ100μmのフィルムエクチュエ-タを5枚用いた積層形アクチュエ-タを試作した.駆動電圧±290Vで70gfの力が得られた.力密度は35N/kgである.これは自重の3.5倍に相当し,従来の電磁式リニアモ-タに匹敵する.
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