本研究の目的はロボットア-ムの動特性モデルのモデリング手法を1.ア-ムが自由に運動できる、2.ア-ム先端が環境により拘束をうける場合について、実証的に確立することであった。実験には6自由度産業用ロボットPUMA560とスカラ型2自由度DDア-ムを使用した。 1.の場合は基底パラメ-タを推定するため(1)研究代表者らが提案している逐次同定法の実験を行いかなり良好な推定値が得られた。また、(2)他に提案されている同時同定法も試みたが収束性に問題があることが判明した。そこで(3)補助変数法を用いてこの方法を改良した結果、(1)とほぼ同程度に良好な推定値が得られた。つぎに(4)ク-ロン摩擦力と粘性係数のア-ム姿勢や手先荷重による変動を調べた結果、ア-ム姿勢はほとんど影響せず荷重による変動は無視できないことが判明した。また、(5)DDア-ムは減速機をもつ産業用ロボットに較べてク-ロン摩擦力、粘性係数がかなり小さく、非常に良好な推定が行えることが判明した。結論として、逐次同定法あるいは改良型同時同定により実用的に十分な精度をもつ動特性モデリングを行えることが実証された。 2.の場合は動力伝達機構の剛性や動特性が問題となるが、これらはア-ム手先に外力を加え手先の微小変位を計測することにより同定できる。この目的のため(1)レ-ザ式変位センサを購入し、手先の位置と姿勢の6変位を同時に測定する微小変位計測装置を製作した。ただ、レ-ザ式変位センサは対象面の向きによりその測定値に多少の変動が生じることが判明したので現在その対策を検討中であり、あと1ケ月位で解決できる見通しである。これらによる遅延のため動力伝送機構の(2)剛性、(3)動特性の同定および(4)カ・インピ-ダンス制御時の振動現象の解明はまだなされていない。これらは引続き平成4年度に研究を行う。
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