研究概要 |
1.IETS装置の作製に関しては、GPIB対応のロックインアンプを購入し、測定試料からの検出信号をXーYレコ-ダと並列してコンピュ-タにも取り込めるように測定システムの改良を行った。この結果、測定デ-タのスム-ジング、バックグランド処理等、数値演算処理が可能になった。IETSシステムの動作確認としてAlーAl_2O_3ーPbのMIM(金属ー絶縁物ー金属)トンネル接合試料について液体ヘリウム温度でトンネル電流のVーdV/dI特性が観察された。従って、この段階においてIETS測定システムは完成したと判断した。 2.LB膜をトンネル障壁に用いたトンネル接合においてトンネルスペクトルを測定し、LB膜分子の分子振動と金属電極フォノンを測定する予定であるが、1.で用いたトンネル接合においてさらに高バイアス側(20ー500mV)まで電圧を帰引したところ、試料作製過程において蒸着装置の排気系のオイルバック等により導入されたと思われる種々の分子振動スピクトルが観測された。すなわち、この金属電極上にLB膜を累積するとLB膜分子の振動スペクトルを有機不純物分子の振動スペクトルとの区別が不可能である。したがって、本年度はまずLB膜を累積する金属であるSn,Pbをベ-ス電極としたSnーSnO_2ーPb,PbOーPbトンネル接合ののトンネルスペクトルの測定を行った。I,K,Yansonが低温蒸着で作製したSn/SnO_2/Pbの酸化物フオノンについて比較すると、そのスペクトルはほぼ微細構造も含めて一致したが、全くoriginの分からないスペクトルも観測され、検討が加えられた。
|