研究課題/領域番号 |
02452142
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 英男 北海道大学, 工学部, 助教授 (00152215)
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研究分担者 |
赤沢 正道 北海道大学, 工学部, 助手 (30212400)
飯塚 浩一 北海道大学, 工学部, 助手 (30193147)
長谷川 英機 北海道大学, 工学部, 教授 (60001781)
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キーワード | 化合物半導体 / 希薄磁性半導体 / 分子線エピタキシ / IIIーV族 / InMnAs / 半磁性半導体 / 磁気抵抗効果 / 異常ホ-ル効果 |
研究概要 |
本研究は、申請者らが新しく開発に成功したIIIーV族希薄磁性半導体(半磁性半導体)、特に(In,Mn)Asの分子線エピタキシ法による成長と、そのエピタキシャル膜の評価を行い、この新磁性半導体の応用の可能性を探ることを目的とする。 平成2年度では、以下の新たな知見を得た。 1.分子線エピタキシャル成長法により(In,Mn)As層を成長した。成長条件とエピタキシャル層の物性との関連を明らかにし、相分離・クラスタ形成の生じない成長条件を確立した。成長温度200℃では、エピタキシャル層はn形であり、Mnの組成xが増加するとともにキャリア濃度が減少する。一方、成長温度300℃では、x<0.03で成長層はp形であり、x<0.004では、ホ-ル濃度とMn濃度はほぼ等しいが、それ以上ではxの増加とともにpが減少する。また、xが0.03を超えるとエピタキシャル層中にMnAsと思われるクラスタが生じ、磁気的性質がそのクラスタに支配される。 2.磁化測定により、MnーMn間の磁気的相互作用が反強磁性的であって、その大きさが最近接Mn間で-1.9Kであることを明らかにした。 3.低温(<10K)におけるInMnAs磁気抵抗効果の測定で、異常ホ-ル効果を観測した。これは、x<0.03のp形試料(成長温度300℃)にみられるもので、低温(<10K)の磁気抵抗効果に異常ホ-ル効果とヒステリシスが見いだされたものであり、低温で強磁性的秩序が形成されていることを示している。この現象は、基礎的物性、応用の両面からきわめて重要な知見である。
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