前年度の研究結果より、メタンを完全に分解してカ-ボン(C)を除去すると言う方法を変更し、逆にWフィラメントを用いて活性水素(H^*)を発生させ、TMGやTMAのメチル基をメタンとして除去することを試みた。用いた装置は1200L/minの油拡散ポンプとQMSのついて古い真空蒸着装置である。これにバリアブルリ-クバルブとTMGのエバポレ-タを設け、電流導入端子を通してステンレスパイプの先にWフィラメントとアルミナ管を付けたガス導入端子を作った。 その結果、TMGのみをWフィラメントで分解した場合とTMGと水素の混合ガスを分解した場合、いずれの場合も1200℃程度からメタンの発生が急激に増大し、1500〜1600℃で最大になり、それ以上フィラメントの温度が上がるとむしろメタンの発生は減少することが分かった。しかし、メタンの発生量は水素をキャリアガスとした場合の方が3倍以上大きかった。 更に注目すべき事は、フィラメントの温度が1800℃を越えると、Gaの信号が急激に増えること、またその程度は水素をキャリアガスとした場合の方が顕著であることである。この事は1800℃以上のWフィラメントによって、メタンは分解し、Gaは水素化物として再び蒸発していることを示唆している。 今後補助金で購入したロ-ドロック室を設け、Asソ-スを付けてGaAsの成長を行い、Wフィラメントの温度によって、成長層に含まれるCがどのように変化するか調べる予定である。
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