研究課題/領域番号 |
02452146
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 照吉 名古屋大学, 工学部, 教授 (70023249)
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研究分担者 |
森 竜雄 名古屋大学, 工学部, 助手 (40230073)
鈴置 保雄 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10115587)
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キーワード | 有機薄膜 / 発光素子 / プラズマ表面処理 / 仕事関数 / ESCA / 静電容量ー電圧特性 / ホ-ル注入 |
研究概要 |
本年度はITO基板の表面処理による劣化抑制効果と静電容量ー電圧(CーV)特性による界面キャリア注入現象の解明を主に行った。試料はITO透明電極/正孔輸送層(TPD)/発光層(アルミキノリノ-ル錯体)/AlもしくはMgである。以下に、本研究により得られた知見を簡単にまとめる。1.ITO電極を酸素プラズマやアルゴンプラズマに短時間表面を曝すことにより二層型発光素子の発光しきい電圧は低下した(3V程度)が、電流に対する発光効率の上昇は見られなかった。2.プラズマ表面処理は発光しきい電圧を低下されると共に初期の経時劣化を抑制することがわかった。3.プラズマ表面処理によりITOの仕事関数は処理しない値4.57eVに比べアルゴンの場合4.56eVとほとんど変化が見られず、酵素の場合に6.61eVとわずかに増加した。これは表面の酵素濃度に起因したものであるが、ITOからTPDへのホ-ル注入増加とは対応しない変化である。4.ESCA測定によりプラズマ表面処理では表面の炭素濃度が減少することが明らかになり、Tangらが報告しているようなITO表面の有機物により汚染が原因である可能性が高い。5.二層試料のCーV特性はITOを正とする順方向でCの増加による極大値が観測される。この極大値の最大値は発光層単独のCと一致した。この極大値が観測される電圧は発光しきい電圧と一致した。6.極大値はCーV特性の繰り返しにより高電圧側に徐々にシフトする。7.CーV特性には測定周波数依存性があり、100kHzではCの変化は小さいが、発光特性には大きな変化は見られなかった。現在より詳細な検討を通して界面キャリアもモデルの構築している。
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