研究概要 |
1.移動体衛星通信路モデルを構築し,また,本研究の目標を設定するために,発表論文等を基にして通信路の特性と通信方式の動向を調査した.その結果,通信路はライス・フェ-ジング通信路でモデル化でき,移動体の移動に伴ってドップラ周波数シフトが生じることが判明した.通信方式については同期検波方式ではキャリア再生回路が,非同期検波方式では遅延検波方式が現在の主な研究対照となっていることがわかった.これらの調査結果を基にして,移動体衛星通信路を計算機上でシミュレ-トするライス・フェ-ジング・シミュレ-タを作成した. 2.ドップラ周波数シフトを推定・修正し,かつ,フェ-ジング耐力を持つマルチシンボル多値位相変調(MPSK)/遅延検波方式を提案し,そのシステム構成並びにドップラ周波数シフトを伴うライス・フェ-ジング通信路での誤り率特性を作成したシミュ-レ-タを用いて解析した.その結果,本提案方式はそのような通信路でも良好な特性が得られることがわかった. 3.陸上移動体衛星通信では,移動体周辺の建造物による見通し内通信路の瞬断(シャドウイング)が頻繁に発生する.シャドウイングの統計的性質を決定するために,山頂から送信された電波の電解強度を測定する実験を行い,その実験デ-タを基にしてシャドウイング・シミュレ-タを作成した. アクセス制御方式としてGoーbackーN方式を取り上げ,フェ-ジング・シャドウイング環境下での特性をシミュレ-ションによって解析し,パケット長と連続送信数に最適値が存在すること等を明らかにした.
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