研究概要 |
仮想作業空間における三次元形状モデルの直接操作を実現するためには、まずはじめに人間が実作業空間において行っている三次元操作の作業分析を行う必要がある。本研究においては、まずこの作業分析を行い、それに基づいた仮想作業空間の構成を検討した。人間の操作過程においては、腕,手,指先などの運動器官が無意識のうちに巧みに制御され、様々な形状操作を可能にしていることが分かるが、本研究では特に片手の親指と人差指による作業に限定して、その直接操作の仮想化を検討することにした。親指と人差指の二本の指に限定しても、物体の保持,移動,変形などの様々な操作が可能であり、積木,粘土細工のような基本的な三次元形状操作の多くの部分が実現可能であることが、作業分析の結果判明している。以上のような作業分析の結果をふまえて、具体的な仮想作業空間を構成するための装置に関する検討を次に行った。作業操作を実世界におけると同様に、ほぼ無意識に自然な形で実現するためには、目からの視覚の他に指先,手から受ける触覚や圧覚といった体性感覚の情報が極めて重要であり、これらの求心性神経情報と指先を制御する遠心性神経情報との間で知覚サイクルを形成する必要があることが明らかであり、このための装置を実現する必要がある。視覚情報の実現に関しては、様々な立体視装置がすでに開発されており、これらを活用することができる。但し、ステレオ視などに必要となる画像情報は、三次元形状の操作に従って実時間で表示する必要があり、高速の描画機能をもつ計算機を必要とする。次に指先の触覚情報の実現に関しては、二本の指を細い糸で吊ることにより、糸を外部で制御することにより実現することとした。仮想作業空間のためのインタフェ-ス装置の基本設計はすでに完了しており、具体的な装置の開発とそれに基づく操作性の評価実験については次年度に行う計画である。
|