研究課題/領域番号 |
02452167
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
野村 浩郷 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (30208392)
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研究分担者 |
津田 一郎 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (10207384)
後藤 万里子 九州工業大学, 情報工学部, 講師 (20189773)
杉本 武 九州工業大学, 情報工学部, 講師 (70196749)
永井 秀利 九州工業大学, 情報工学部, 助手
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キーワード | 計算言語学 / 言語学 / 自然言語処理 / 談話理解 / 語彙機能モデル |
研究概要 |
今年度は、昨年度の成果に基づき、談話理解のための言語的制約について言語学、計算機科学の両観点からの分析的研究をさらに進め、語の機能に着目した談話理解モデルの拡充を行った。以下に各研究成果の概要を述べる。 1.アスペクトとモダリティの意味モデル 二格名詞句をとる自動詞の中には他動詞的性格を持つ準他動詞と受身的性格を持つ受動詞とが存在することを示し、その文法的、語彙的性質を明らかにした。また日本語における文末表現の一つ「てしまう」においては、実現相の「てしまう」を話し手によるコントロ-ル不可能性と捉え、これにより「てしまう」のアスペクトとモダリティにおける位置づけを明らかにし、その意味モデルを確立した。 2.現在時制の意味機能 英語の現在形に対応する概念をimmediacyと捉え、その輪郭をrealis/irrealis双方の世界における過去形の形態素の表象との対象、および時の概念との関係において明確にし、現在形の意味機能をimmperfectivityという概念によって包括的に示した。 3.文末表現の特徴に基づく言語モデル 日本語においては、ある文の機能はその文の文末表現に特徴的に現れる。そこで文末表現を調査・分析することにより、その特徴から得られる文の論理構造を明らかにし、これに基づく言語モデルを構築した。 4.省略を利用した自然な対話文生成 自然な対話文を生成するためには冗長な表現を避けることが重要である。本研究では冗長な表現を避けるための発話要素の省略の機構を分析・モデル化し、比較的単純な質問文に対する応答であればこの省略機構だけでも非常に自然な応答文生成が可能であることを示した。 今後はこれらの成果を実験システム上で評価し、モデルのさらなる精密化・詳細化を行う。
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